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呼吸によってメンタルや脳をコントロールする。最新科学から導き出された「心身を操る呼吸術!」【ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の超呼吸法 - 根来 秀行 - 】

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2018年9月に発行された、根来秀行氏著の【ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の超呼吸法】を読んで学んだことをまとめています。

 

ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の 超呼吸法

ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の 超呼吸法

 

 

本書では、ハーバード大学ソルボンヌ大学をはじめ国内外の大学にて、最先端医療の臨床・教育・研究に携わってきた著者が、最先端の科学的エビデンスにより導き出した呼吸法について書かれています。

呼吸に意識を向け改善することによって、体はもちろんのこと、脳やメンタルまでコントロール可能であることが科学的に解明されてきています。

 

日々無意識で行なっている呼吸。

この呼吸を「意識する」「制する」ことは、仕事の制度や速度を上げ、最大限のパフォーマンスを発揮する秘訣となります。

根来 秀行 ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の超呼吸法

   

 

1:当たり前すぎてよく知らない、呼吸の基本。

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いきなりですが、人は1日に何回ぐらい呼吸しているのでしょうか?

個人差はありますが、人は平均的に1分間に15回程度、1日で21600回程度も呼吸を行なっています

食事から摂取するエネルギーと違い、酸素は体にためておくことができないため、呼吸活動は自律神経によって管理され24時間稼働し続けています。そのため、1日で21600回もの呼吸回数が必要となるのです。

では、そもそも呼吸によって体に取り入れた酸素はどのように体に影響を与えるのでしょうか?食事の仕方をコントロールすることで肉体に変化を起こせるように、呼吸の仕方をコントロールすることで、心身にどのような変化を引き起こせるのでしょうか?

まずは、呼吸の基本について紹介していきます。

 

酸素と二酸化炭素の交換作業。呼吸のメカニズム。

呼吸により吸い込んだ空気は、最終的に肺胞へと運ばれます。肺胞には毛細血管が張り巡られており、空気中の酸素と毛細血管中の二酸化炭素が交換されます。これを肺呼吸(外呼吸)と言います。

肺呼吸により酸素を含んだ血液は体中に運ばれ、各細胞の中で

栄養素をエネルギーに変換するために使われます。つまり、栄養と酸素があって初めてエネルギーが生まれるのです。

エネルギーに変換した際に、老廃物や二酸化炭素活性酸素が発生します。これらを排出し各細胞内外を正常な状態にするために、毛細血管がそれらを受け取り、最終的に肺胞で酸素と二酸化炭素の交換が行われ、呼気として体外に二酸化炭素を排出するのです。

このような、細胞レベルでの酸素と二酸化炭素の交換を細胞呼吸(内呼吸)と言います。

外気を体内に取り込む呼吸が外呼吸、体内に取り込んだ酸素と生命活動によって生じた二酸化炭素の交換作業が内呼吸となります。

この一連の流れが呼吸運動であり、呼吸運動時に体内で行われていることです。

 

酸素の活躍は二酸化炭素のアシストがあってこそ。影で頑張る二酸化炭素の役割。

呼吸で取り込んだ酸素の働きはエネルギーの生成ですが、では二酸化炭素にはどんな役割があるのでしょうか。

もちろんですが、体内の二酸化炭素量が増えすぎることで様々な問題が生じますが、それと同様、二酸化炭素量が少なくなりすぎると、これまた問題が生じます

というのも、

細胞呼吸(内呼吸)が滞りなく行われるかどうかは、二酸化炭素の量にかかっているからです。

具体的にどのようなことが起こるかと言うと、体内の二酸化炭素量が足りていない場合、どれだけ酸素を取り込んでも、利用されることなく体外へと排出されてしまうのです。

つまり、どれだけ呼吸をして酸素を体内に取り込んだとしても、体内の二酸化炭素濃度が低すぎる場合、呼吸の本来の目的ともいえる細胞呼吸(内呼吸)がうまく行われないのです。

そのため、取り込んだ酸素をしっかりと活用しエネルギーに変換する上で、二酸化炭素は必要不可欠な存在なのです。

 

吸いすぎ注意。二酸化炭素不足の原因は呼吸のしすぎ。

そんな大事な二酸化炭素が不足する一番の原因は、過呼吸、呼吸のしすぎです。

大気中の二酸化炭素濃度が0.04%に対して、呼吸によって排出される二酸化炭素濃度は125倍の5%と言われています。つまり、呼吸回数が多ければ多いほど、取り込む二酸化炭素よりも排出される二酸化炭素が多くなっていくのです。

呼吸回数が多いということは、一回の呼吸が浅いことを意味しており、一回の呼吸量が少ないということです。

このような状態は、鼻呼吸よりも口呼吸をする場合に頻発します。なので、

深い呼吸をするための大前提として、意識して鼻呼吸をする必要があります。

意識をしないと呼吸はどんどん浅くなっていく傾向がありますので、意識的に深い呼吸をすることを心がけましょう。そうすれば、二酸化炭素不足に陥る心配はありません。

 

 

ここまで呼吸という運動の基本的なメカニズムです。二酸化炭素が体内に十分あるから酸素を効率よく取り入れることができ、酸素を取り入れられたからエネルギーを生成することができるのです。

つまり、この一連の流れを効率よく行うためには二酸化炭素が非常に重要であることがわかります。二酸化炭素がないと機能しないのです。

しっかりと二酸化炭素を確保し呼吸運動を機能させるためには、

鼻で呼吸をすること、深い呼吸をすること、を心がけ、意識的に呼吸を整え、呼吸回数を少なくしていきましょう。


Point
二酸化炭素は呼吸運動において最重要の存在。

 

 

2:正しい呼吸はあらゆる不調の特効薬。呼吸とコンディションの密接な関わり。

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呼吸は心身のコンディションと非常に深い関係にあります。ストレス、怒り、集中力、肩こり、高血圧、便秘、胃炎、消化不良、モチベーション、姿勢、痛み、睡眠、代謝と多くのコンディションと関わっているのです。

つまり呼吸を整えることで、これらのことを好ましい状態に近づけることができるのです。

こちらでは、呼吸とコンディションとの関係性について紹介していきます。

 

自律神経を意識的に調節できる唯一の方法が呼吸である。

呼吸は自律神経で管理されています。自律神経とは意識的にコントロールすることのできない文字通り自律した神経なのですが、呼吸によってある程度コントロールすることができるのです。つまり、

呼吸法だけが、自律神経に意識的に介入できる唯一の方法なのです。

自律神経には活動するための交感神経と、休息するための副交感神経の2つがありますが、基本的に現代人は交感神経が非常に優位な状態になっています。つまり、休息をとっているつもりでも、実際は十分に回復ができていいない状態になりがちです。

原因は多々あるのですが、夜になっても外は明るいですし、スマホやテレビなどを見る習慣が根付いてる現代人は、なかなか休息する状態に身を置くことが難しいためです。

しかし、そんな中でも呼吸法を取り入れ自律神経に働きかけることで、意識的に自律神経のスイッチを切り替えることができるのです。

 

自律神経の調節には、横隔膜に刺激を与えることが大事。

呼吸によって自律神経を調節するためには、横隔膜に刺激を与える必要があります。横隔膜の周辺には自律神経が集まっているため、横隔膜に刺激を与えることで、自律神経に刺激を与えることができ、副交感神経を優位にすることができるのです。休息するための副交感神経が優位になることで、気持ちの高ぶりを抑えたり、嫌な気持ちをリフレッシュすることができますし、免疫力を向上させることができます。

横隔膜を動かすためには、

腹式呼吸をして、深い呼吸を心がけることが大事です。

胸式呼吸(胸や肩が動く呼吸の仕方)や浅い呼吸では、横隔膜は十分に動きません。腹式呼吸をすることで、横隔膜を動かし、周辺の自律神経を刺激し、副交感神経のスイッチをいれることができるのです。

 

呼吸法によって幸せホルモンであるセロトニンを増やすことができる。

セロトニンとは、精神を安定させ、幸福感を生み出すホルモンです。セロトニンには腸で分泌されるものと、脳内で分泌されるものがありますが、ここでは脳内セロトニンについて言及していきます。

脳内でセロトニンが活発に働くことで、ストレスに上手に対処できるようになり、脳機能が高まることがわかっています。そのため、パフォーマンスを向上させるためには、脳内セロトニンの活性化が不可欠なのです。

他にも脳内セロトニンが活発になることによって、前頭前野も活発になることがわかっています。前頭前野思考や創造性を担っており、高度な知的作業をする際に働く器官です。

意欲や共感といった脳機能は前頭前野が司っており、その働きは脳内セロトニンがどのように働いているかに影響されるということです。

そんな脳内セロトニンは、リズム運動をしたり、癒されている状態において活性化されます。

ウォーキングやゆっくりとした腹式呼吸によるリズム運動や、パートナーやペットとのスキンシップという癒しの時間などが代表例です。

その中でも日常的に行え、時と場所も選ばずに行える方法が、腹式呼吸によるリズム運動です。

横隔膜を一定のリズムで動かす腹式呼吸脳内セロトニンの分泌を促すことはもちろんのこと、副交感神経のスイッチを入れることにもなります。

ポイントは意識して行うことです。意識して行うからこそ、脳に働きかけることができるのです。ウォーキングにしてもただ歩くのが大事なわけではなく歩き方が大事ですし、呼吸が大事なわけではなく呼吸法が大事ということです。

 

呼吸法によって劣化した毛細血管を復活することができる。

自律神経やホルモンといった制御機能と密接に関係するのが血管であり、そのなかでも注目したいのが毛細血管です。

血管のほとんどは毛細血管であり、毛細血管こそ健康の要とも言われています。

毛細血管の役割で最も重要なのが、細胞や組織に酸素を送り、二酸化炭素や老廃物を回収するという働きです。毛細血管が機能しているからこそ、全身の細胞や組織が正常に働き、栄養が全身に行き届くのです。

逆に毛細血管が弱っていると、栄養が行き届かないだけではなく、細胞が老廃物だらけとなり、機能不全が発生しやすくなります。

毛細血管は細胞が正常に活動するために非常に重要ということです。

毛細血管は加齢とともに減少や弱体化が起こるのですが、そうではなく生活習慣により弱るという一面もあります。加齢による弱体化は仕方がないのですが、生活習慣によって弱体化した毛細血管は、復活させることができます

毛細血管を復活させるためには、毛細血管に血流が行くようにすることが大切であり、そのためには副交感神経を優位にして、毛細血管が開いている時間を確保することが重要です。

そして、副交感神経を優位にするためには、呼吸法を利用することが非常に手っ取り早いのです。

 

 

このように、呼吸方を意識することで、自律神経やホルモンだけではなく毛細血管にまで働きかけることができるのです。

ここまでくれば、呼吸法によってメンタルや脳をコントロールできるという意味がわかってきたかと思います。

自律神経やホルモンといった、人体における最重要器官に対して働きかけることができるのですから。

しかも運動や勉強と違い、呼吸はいつでもどこでもすぐに行うことができます。それゆえ呼吸に対して意識することは少なかったと思いますが、これからはただ漠然と呼吸をするのではなく、呼吸に意識を向け、身体の機能を改善していきましょう。

 

Point
呼吸は自律神経、ホルモン、毛細血管にまで影響を与える。

 

 

3:目的によって使い分ける、根来式10の呼吸法

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ここまでで、呼吸についての基本と、呼吸が人体にどのように関わっているのかはわかっていただけたと思います。

呼吸について理解できたところで、実際にどのような呼吸法をすることで、具体的にどのような効果が起こるのかを紹介していきます。

目的や用途によって呼吸法を使い分けることで、より効果的に人体に働きかけることが可能となります。

 

大前提として、呼吸法の基本は鼻呼吸かつ腹式呼吸

意図的に胸式呼吸が必要になることもあるのですが、呼吸法のほとんどの場合は腹式呼吸が基本となり、口呼吸ではなく鼻呼吸が好ましいです。

腹式呼吸が基本となる理由は、横隔膜をしっかりと動かし、周辺の自律神経に働きかけるためです。また、横隔膜は筋肉なので、腹式呼吸を続けることで筋力が向上し、やればやるほど腹式呼吸を楽に行えるようになります。

腹式呼吸で大事なことは、

しっかりとお腹を凹ませ、ゆっくり鼻から息を吐くことです。

呼吸法において大事なのは、吸うことよりも吐くことです。しっかりと吐くことにより、必要量の酸素を取り込みやすくなります。

呼吸法を実践する際には、腹式呼吸を心がける、鼻呼吸を意識する、という2点を頭に入れておいてください。

 

根来式呼吸法01:習慣こそが最強。副交感神経を刺激する呼吸法を習慣化するための「ベース呼吸法」

呼吸は24時間絶えずに行わる自律運動です。ということは、深い呼吸が習慣化されれば、その後は意識せずとも深い呼吸が行われるということです。

深い呼吸の習慣化のために役立つのがベース呼吸法です。

手順は次のようになります。

❶姿勢を楽にして、鼻から息を吐く

❷お腹を膨らませながら、鼻からゆっくりと息を吸う(4秒程度)

❸お腹を凹ませながら、鼻からゆっくりと息を吐く(8秒程度)

❹気持ちが落ち着くまで❷〜❸を続ける

(※秒数はあくまでも理論であり、必ずしも守る必要はありません。)

効果は次のようなものがあります。

緊張緩和/横隔膜の筋力トレーニング/脳波サイクルに合わせた回復

ベース呼吸法は、文字通り基本となる呼吸法なので、気が付いたらこまめに行うようにしましょう。そうすることで、

横隔膜の筋力向上、それに伴い深い呼吸の習慣化、さらに合わせて副交感神経への働きかけによりリラックス効果を得られます。

まずは基本であるベース呼吸法から慣らしていき、その後で後述する呼吸法を試していくのがいいかと思います。

 

根来式呼吸法02:交感神経の暴走を抑え、イライラやストレスを解消する「4・4・8呼吸法」

ストレスを受けることで交感神経が優位となり、不安や恐怖が引き起こされます。交感神経の暴走を抑え、副交感神経のスイッチを入れ、

ストレスを解消することができるのが4・4・8呼吸法です。

ここ一番という緊張をしやすい場面や、眠れないときなどに有効です。

手順は次のようになります。

❶姿勢を楽にして、鼻から息を吐く

❷お腹を膨らませながら、鼻からゆっくりと息を吸う(4秒程度)

❸息を止める(4秒程度)

❹お腹を凹ませながら、鼻からゆっくりと息を吐く(8秒程度)

❺❷〜❹を繰り返す(3分程度)

(※秒数はあくまでも理論であり、必ずしも守る必要はありません。)

効果は次のようなものがあります。

緊張緩和/不安解消/イライラ抑制/ストレス解消/横隔膜の筋力トレーニング/脳疲労のリセット/入眠促進

4・4・8呼吸法は、ストレスを感じた際に試してみてください。

わずか3分程繰り返すだけで、ストレスが軽減され、頭がスッキリしてくるかと思います。

気持ちを素早く落ち着かせたいときや、なかなか寝付けないときなどは、この4・4・8呼吸法がおすすめです。

 

根来式呼吸法03:やる気や集中力を一気に高め、冷静さも維持する「1:1呼吸法」

気合いを入れなければならないプレゼンの前や、作業に没頭したいときに特におすすめの呼吸法です。

テンションを高め、やる気や集中力を一気に高めたいときに利用できます。

呼吸法の基本は腹式呼吸を行い横隔膜に刺激を与えることとお伝えしてきましたが、この1:1呼吸法では胸式呼吸(胸や肩が動く呼吸の仕方。)も同時に利用します。速めの胸式呼吸で意図的に交感神経を上げ、気分を高揚させます。その後に腹式呼吸を行い副交感神経のスイッチを入れるため、興奮しすぎずに冷静さも併せ持った状態になれるのです。

手順は次のようになります。

❶背筋を伸ばして、鼻から息を吐く

❷速めの速度で鼻から息を吸う(胸式呼吸)

鼻から一気に息を吐く(胸式呼吸)

❹❷〜❸を4、5回繰り返す

❺お腹を膨らませながら、鼻からゆっくりと息を吸う(3秒程度/腹式呼吸

❻お腹を凹ませながら、鼻からゆっくりと息を吐く(6秒程度)

❼❺〜❻を4、5回繰り返す

(※秒数はあくまでも理論であり、必ずしも守る必要はありません。)

効果は次のようなものがあります。

やる気アップ/テンションアップ/気合いアップ/集中力アップ

どうにもやる気が起きない、ここは集中して頑張りたい、というときには1:1呼吸法を試してみてください。

交感神経、副交感神経のどちらにも働きかけることで、素早くテンションを上げながらも、冷静さを維持することができます。

非常に手っ取り早くテンションを上げられる方法です。

 

根来式呼吸法04:細胞呼吸を活性化し、一瞬で心身のバランスを取り戻す「CO2呼吸法」

アメリカの軍隊や警察で取り入れられている tactical breathing という呼吸法と同様に、脈拍や血圧を下げることができる呼吸法です。

二酸化炭素への耐性をつけて、自律神経のバランスを整えることができます。

過度のストレスを受けたときや、気持ちの整理がつかないようなときにおすすめです。また、ストレスにより浅くなりがちな呼吸を正すことができ、血中二酸化炭素濃度の低下を防ぐトレーニンとしても役立ちます。

手順は次のようになります。

❶姿勢を楽にして座り、鼻から息を吐く

❷息を止める(5秒程度)

お腹を膨らませながら、鼻からゆっくりと息を吸う(5秒程度)

❹息を止める(5秒程度)

❺お腹を凹ませながら、鼻からゆっくりと息を吐く(5秒程度)

❻❷〜❺を5回程繰り返す

(※秒数はあくまでも理論であり、必ずしも守る必要はありません。)

効果は次のようなものがあります。

全身の細胞に酸素を届ける/パニックを防ぐ、和らげる/自律神経のトータルパワーアップ/浅くなった呼吸を正す

ストレスによるダメージをコントロールするために役立つ呼吸法です。

予期せぬ事態に直面したときや、思いがけない状態が発生したときに、是非試してみてください。

そうすれば、かりにパニック状態に陥ってしまっていたとしても、すぐに気持ちを立て直すことができるかと思います。

 

根来式呼吸法05:パフォーマンス低下の元凶である老廃物を根こそぎ除去「リンパ呼吸法」

睡眠前に毎日行って欲しいほど、

疲労回復、むくみ解消効果が高い呼吸法です。

仰向けで行うことにより、重力から解放されリンパが流れやすくなると同時に、横隔膜付近に程よい圧がかかることで、よりリンパの流れがスムーズになります。

リンパ呼吸法をすることによって、ドロドロだったリンパ液がサラサラになったという研究結果もあります。

手順は次のようになります。

❶全身の力を抜いて膝を軽く曲げ、仰向けに寝転がる

❷鼻から息を吐く

お腹を膨らませながら、鼻からゆっくりと息を吸う

お腹を凹ませながら、鼻からゆっくりと息を吐く(吸った時間よりも長く吐く)

❺❸〜❹を入眠まで繰り返す

効果は次のようなものがあります。

むくみ解消/老廃物の排出/疲労解消

寝る直前に行い、そのまま入眠してしまってもいいため

秒数を気にすることなく、自分が心地よいと感じられるリズムで、ゆっくりと行いましょう。

難しいことは何もなく、仰向けになって腹式呼吸をするだけです。ただそれだけのことで、むくみ解消や疲労解消につながりますので、是非お試しください。

 

根来式呼吸法06:ヘトヘトになった心身をゆっくり癒す「10・20呼吸法」

気をつけていても、しらずしらずストレスや疲労は溜まっていきます。これまでの呼吸法を活用して適時回復を図ることが好ましいですが、突然とんでもないストレスに襲われることもあります。そんなときは10・20呼吸法がおすすめです。

モヤモヤを解消しつつ、ストレスに強い心を養える呼吸法です。

この呼吸法の特徴は、1分間にたった2回しか呼吸をしないことです。そのため、非常に深い呼吸となります。浅い呼吸が習慣となっている人にはなかなかきついと思いますが、最初はできる範囲で行っていけば大丈夫です。続けることで横隔膜の筋力が向上し、徐々に楽になっていきます

手順は次のようになります。

❶姿勢を正して座り、下腹部を絞るようにゆっくり鼻から息を吐き切る

❷下腹部と肛門の力を抜いて、下腹部を膨らませながら自然に鼻から息を吸う(10秒程度)

首から胸にかけて力を抜きつつ、下腹部を絞り肛門を閉めながらゆっくり鼻から息を吐き切る(20秒程度)

❷〜❸を自分のペースで20〜30回程繰り返す

効果は次のようなものがあります。

交感神経の沈静化/スムーズな入眠/副交感神経のスイッチオン/呼吸筋トレーニン

無理せず自分のペースで行うことが大切です。最初から完璧に行おうとせず、徐々に秒数を延ばしていってください。

また、他のことを考えたりせず、

呼吸にのみ意識を集中させることで、より効果が高まります。

そのため、テレビを消したり、照明を落としたり、よりリラックスできる環境で行うことがおすすめです。 

 

根来式呼吸法07:セロトニンが出やすい体質に自分を変える「下腹部呼吸法」

4・4・8呼吸法、CO2呼吸法と同様に、感情のコントロールに使える呼吸法ですが、下腹部呼吸法は

その場を抑えるためではなく、日常的にセロトニンが出やすくなるように体質を整える呼吸法です。

精神の安定に大きく関わり、幸福ホルモンであるセロトニンの分泌を促しつつ、ネガティブな感情を長引かせないために有効です。

手順は次のようになります。

❶口をすぼめて下腹部を絞るように凹ませながら口から息を吐き切る

❷下腹部を緩めて、鼻から自然に息を吸う

口をすぼめて下腹部を絞るように凹ませながら、ゆっくり口から息を吐く

❷〜❸をゆったりとした一定のリズムでペースで最短5分、最長20分程繰り返す

効果は次のようなものがあります。

副交感神経向上/鬱気分改善/姿勢矯正/セロトニン分泌量アップ/メラトニン分泌量アップ/ノルアドレナリンドーパミンのコントロール

感情がうまくコントロールできない時というのは、ノルアドレナリンドーパミンが暴走しています。下腹部呼吸法をすることで、これらの暴走を抑えコントロールすることができるのです。つまり、

多少のことでは動じない強い精神を養うことができる呼吸法なのです。

慢性的に気持ちが上がらない方や、感情のコントロールが苦手な方は是非試してみてください。 

 

根来式呼吸法08:呼吸するだけで筋力アップ「ドローイン」

呼吸でありながら筋トレ効果が期待できる呼吸法です。

インナーマッスルを鍛えることで、ブレない体幹が手に入ります。

腹筋を意識しながらお腹を凹ませて呼吸するだけという非常に簡単な呼吸法で、立ってても座っててもどんな状態でも行えます

手順は次のようになります。

❶背筋を伸ばして、お腹を意識的に膨らませながら鼻から息をゆっくり大きく吸い込む

❷息を止めてお尻に力を入れる

❸お尻いれてる力を維持しながらお腹を凹ませつつ、鼻から息をゆっくり吐く

お腹を限界まで凹ました状態をキープしつつ、浅い胸式呼吸を行う(30秒程度)

❺脱力して終了

効果は次のようなものがあります。

呼吸筋トレーニング/筋トレ/猫背改善/浅い呼吸の改善

コツさえ掴んでしまえば、いつでもどこでも行える呼吸法です。呼吸をしているだけにも関わらず、体幹を鍛える効果があるので、運動不足で悩まれてる方には特におすすめです。

重要なのことはしっかり腹筋に意識を向けることです。

腹筋にしっかりと意識を向けることで、最大限の効果が期待できます。

慣れないうちはお腹に手を当てながら行い、お腹の膨らみを意識しやすい状態で行うといいかと思います。

 

根来式呼吸法09:内臓機能の強化や新陳代謝アップが狙える「完全呼吸法」

胸部の上部、中部、下部を構成する呼吸筋全てを使用する呼吸法です。これをするだけで、腹式呼吸、胸式呼吸、肩呼吸、細胞呼吸全てを行うため、それに関するさまざまな良い効果が期待できます。

特に嬉しいのが、副交感神経のスイッチを入れつつ、内臓機能強化・新陳代謝アップに大きく役立ちます。

ヨガの奥義ともいわれ、ヨガでも利用されている呼吸法です。

手順は次のようになります。

❶楽な姿勢で座る

❷目を閉じて背筋を伸ばす

❸お腹を凹ませながら、鼻から息をゆっくり吐く

お腹を膨らませながら、鼻から息をゆっくり吸いお腹を空気で満たす(腹式呼吸

❺そのまま肩を後ろに引いて胸を開きながら、鼻から息をゆっくり吸う(胸式呼吸)

❻さらに両肩を持ち上げながら、鼻から息をゆっくり吸い肺を空気で満たす(肩呼吸)

❼これ以上吸えない状態になったら息を止める(2〜3秒程度)

❽お腹を凹ませながら、胸と肩も戻しつつ、鼻から息をゆっくりと吐き切る

❾❹〜❽を5回程度繰り返す

効果は次のようなものがあります。

精神安定/代謝アップ/内臓機能の活性化/姿勢矯正/便秘解消/呼吸筋トレーニン

ひとつひとつの動作をゆっくり丁寧に行うようにしましょう。

無意識に行なっている呼吸のピッチが速い人にとっては、呼吸筋のトレーニングとなり、ゆっくりとしたピッチで呼吸ができるようになります。

運動不足の人や、内臓機能低下によってお悩みの方には特にオススメの呼吸法です。

 

根来式呼吸法10:医学的に実証されている瞑想法「マインドフルネス呼吸法」

マインドフルネスとは、あるがままを受け入れる心の持ち方です。これは瞑想法であり、医療の現場でも使われ始めています。それがマインドフルネス呼吸法です。

あるがままを受け入れることで、感情に振り回されず、客観的に物事を捉えられるようになる呼吸法です。

手順は次のようになります。

❶背筋を伸ばして座る

❷目を閉じて体の感覚に意識を向ける

❸呼吸をコントロールしないで、鼻から自然に息をしながら、お腹や胸の動きに意識を集中する

雑念が湧いてきても気にせず、呼吸にのみ意識を向ける

効果は次のようなものがあります。

集中力アップ/不安解消/ストレス解消/生産性アップ/脳疲労リセット/創造性アップ/冷静さアップ/判断力アップ

古くから行われていたが根拠が曖昧だった瞑想の呼吸法が、科学の進歩により解明されてきたわけです。

マインドフルネス呼吸法は脳疲労リセットに非常に役立つもので、

5〜15分で脳を休ませ、脳をクリアな状態に持っていけます。

脳は非常に疲れやすい器官なので、無理して使い続けるのではなく、適時回復を図ることが生産性の面でも非常に有効となります。

 

 

以上が10個の根来式呼吸法になります。それぞれの呼吸法で効果が重複しているものもありますが、全ての呼吸法が自律神経やホルモンに働きかけるものであるため、当然と言えます。

重要なことは、求める効果と、現実に自分が行いやすい方法を考慮した上で呼吸法を選択することです。

例えばマインドフルネス呼吸法であれば、呼吸に意識を向けやすい環境で行うことが好ましいため、電車の中など人が大勢いる場所では適していません。家や誰もいない場所で行うことが望ましいので、そうなるとそのような時間と環境を確保しづらい人には向いていない方法となります。

効果を求めるがあまり自分の生活に適していない呼吸法を選択するのではなく、

求める効果と、自分の生活で行いやすい呼吸法をつなぎ合わせて、少しずつ呼吸法を取り入れていきましょう。
睡眠前に適しているリンパ呼吸法などは、比較的誰でも問題なく行える呼吸法なので、どれから行えばいいかわからないという人は、まずリンパ呼吸法から始めてみるといいかもしれません。

 

Point
自分の生活スタイルと、求める効果を照らし合わせて呼吸法を選択する。

 

 

以上が「ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の超呼吸法」を読んで学んだことです。呼吸の働きと基本的なメカニズムを理解し、呼吸と密接に関係している体内の主要な器官を知ることで、なぜ呼吸が自律神経やホルモンに影響を及ぼすのかがすんなりイメージできるようになるかと思います。

著者である根来教授が提案している10の呼吸法を、自分の生活スタイルと求める効果の両面から照らし合わせ、まずはできる範囲から行なっていきましょう。

姿勢矯正や筋力向上、イライラや不安の解消にもなりつつ、幸福物質であるセロトニンの分泌量アップまで期待できるにも関わらず、実行するハードルがすこぶる低い呼吸法は、誰にでも簡単にできるオススメの健康法です。是非呼吸法を日常に取り入れてみてください。

また、本記事は簡易的な要約となっていますので、呼吸法について非常に興味が湧いたという方は、是非本書を読んでみてください。

最後に本書の一節を引用して、この記事を締めたいと思います。

体は資本です。自分の今の実力、能力をいかんなく発揮できる状態にもっていくためには、まず不調の種となる要素を、種のうちに、もしくはつみとりやすい芽のうちに排除する習慣をつけることこそ、一番の早道です。

根来 秀行 ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の超呼吸法 

 

ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の 超呼吸法

ハーバード&ソルボンヌ大学 根来教授の 超呼吸法

 

 

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