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科学で立証されている効率の良い記憶術、記憶の5原則!【脳と心を味方につける マインドハックス勉強法 - 佐々木 正悟 - 】

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学校で受ける授業が嫌いでした。1時間近く椅子に座り続け、先生が黒板に書いた文字をただただひたすらノートに写す。なんの意味があるんだろう?先生も毎年同じ授業をしているんだから、音声を録音でもして流せばいいのに。こんなことばかり考えていました。

しかし、歳を重ね、学生という身分から卒業して早数十年。相変わらず勉強は嫌いなものの、自ら本を読んで学んだり、英語学習のためにあれこれしたり、勉強っぽいことをめちゃくちゃしています。

結局みんな、勉強という名の学びから離れることができないんです。学ばないということは変わらない、成長しないということですから。

どうせ勉強するならいい方法はないのかと?効率的な方法で、なるべく楽な方法はないのかと?

ということで、今回は2018年3月に電子書籍版が発行された、佐々木正悟氏著の【脳と心を味方につけるマインドハックス勉強法】を読んで学んだ、「マインドハックス勉強法」についてまとめています。

 

脳と心を味方につける マインドハックス勉強法

脳と心を味方につける マインドハックス勉強法

 

 

本書では、勉強するときのマインド(精神状態)を重視し、脳心理学の根拠を交えながら、勉強方法やそれに役立つツールが数多く紹介されています。

そもそも万人に共通する勉強法などなく、個人個人の趣味趣向や、脳の特徴と照らし合わせ、自分にとっての勉強法を確立することが重要だとあります。闇雲にやればいいというわけではないんです。

そもそも勉強というものに、ネガティブな印象を抱いている人も多いのではないでしょうか?学生時代の苦痛だった授業の時間。本当に苦しかった受験勉強。厳しかった親の監視。なにやら楽しくなさそうです。

でも安心してください。本書はただの勉強法ではなく、マインドハックス勉強法です。創意工夫されている勉強法です。きっとみなさんにとって役に立ち、そして楽しい方法が見つかると思います。

 

マインドハックス勉強法は、、勉強にまつわるさまざまな問題を解決しようとする、心の創意工夫です。

佐々木 正悟 脳と心を味方につける マインドハックス勉強法

   

 

1:技術や知識を自分のものにする!記憶のための5原則!

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受験勉強や試験勉強で、ひたすら暗記をした経験ありませんか?テスト前日まで全く勉強をせず、一夜漬けでひたすら覚えようとしたことありませんか?

暗記なんて意味がない!テストでいい点を取るためだけの無意味な行為だ!大事なのはテストではなく生きた知識だ!と感じる方もいることでしょう。

しかし、暗記という表現だとなにやら試験のための行動に思えてしまいますが、記憶という表現だとどうでしょうか?暗記をする、のではなく、記憶をする、だとどう感じますか?大事なことのように感じられませんか?

ということで、まずは勉強において非常に重要である、記憶の定着に関して紹介していきます。

 

 

記憶の定着には睡眠が大事!頑張った後は、しっかり寝よう!

勉強の話をしていて、いきなり寝なさい!と言われてもピンとこないかもしれませんが、記憶と睡眠には密接な関係があります。

睡眠と学習についての研究は数多く行われてきており、

記憶の整理が睡眠中に行われているということは、間違いないようです。

ある実験を例に出すと、

アルファベットを組み合わせた無意味な単語を被験者に覚えさせ、その後片方のグループには睡眠をとらせ、もう片方には睡眠を取らせませんでした。

どちらのグループとも同じ時間を空けて単語を思い出してもらったところ、睡眠をとったグループの方が思い出せる単語の数が多かった。

とあります。他にも同様の結果が出ている実験が数多くあり、睡眠と記憶には相関関係が認められています。

なので、一生懸命頑張ることも大事ですが、頑張った後には必ず睡眠をしっかりとるようにしましょう。そうしないと、せっかく学んだ知識も整理されずに、なかなか記憶として定着してくれません。 

 

 

夢中になって覚えよう!ドキドキによって記憶の定着度が高まる。

勉強しているときに、ドキドキしてますか?謎解きのように楽しんでいたり、歴史の登場人物に感情移入をしたりしていますか?大抵の方は何も考えずに、ただ目の前の問題に取り組んでいるのではないでしょうか?それだと少々もったいないかもしれません。

多くの研究によって、

脳は、感情と結びついている情報ほど強く記憶する、ということが判明しています。

つまり、夢中で解いた問題であったり、ドキドキしながら読み進めた本の内容は、記憶に残りやすいのです。

であるならば利用しない手はありません。

逆にめちゃくちゃつまらない!意味がわからなすぎて怒りが湧いてくる!というのも感情として有効なので、そのときは自分の感情を紙に書き出したり、言葉にしてみたりして、感情にしっかりと着目してみてください。

プラスの感情だろうと、マイナスの感情だろうと、感情に結びつけて記憶する、ということを意識するだけで、今まで以上の効果が望めるかと思います。

少しでもドキドキできる方法はないだろうか?少しでも感情がこぼれてしまうようなやり方はないだろうか?

自分の感情がどのようなときに出現するのかを考え、それを勉強に利用しちゃってください。

 

 

そもそもやりすぎ!一度に覚える量を少なくしよう!

みなさん、逆行抑制という言葉を知っていますか?

逆行抑制とは心理学用語であり、意味は以下の通りです。

ある事柄を学習した後で別の事柄を学習した結果、前者の記憶の再生が妨害される現象。両者の類似性が高いほど起こりやすい。

つまり、後から覚えた内容のせいで、前に覚えたはずの内容の記憶定着度が下がってしまう、忘れてしまう、という現象です。

一度に多くの人の名前を覚えようと試みたけど、結局覚えられたのは最後の一人だけ、もしくは最後の方の数人だけ、というような経験がありませんか?まさにこれです。

脳には限界があります。一度にたくさんのことを覚えようとしたって、量的限界があるんです。

いくらでも覚えられるわけではないのです。いつだって覚えられるわけではないのです。

とはいえ覚えなきゃいけないことはたくさんあるんだよ!という人もいるでしょう。大事なことは、一度に覚えようとしても無理がある、ということです。

たくさんのことを覚えようとするな!ではなく、たくさんのことを一度に覚えようとするな!ということです。

例えば、まとまった時間を作って100単語の暗記に勤しむよりも、隙間時間に1、2個を覚え続ける方が、効率よく覚えられる可能性が高いです。試してみてください。

 

 

やりっぱなしはもったいない!復習するだけで記憶定着レベルが80%もアップする!

学生の頃、「しっかり復習しておくように。」と先生が言っていませんでしたか?やかましいわ!と感じていませんでしたか?僕は感じていました。

しかし、先生の言っていたことはめちゃくちゃ正しかったのです。復習は記憶の定着において、非常に優秀な行為なのです。

復習の重要性を裏付ける、エビングハウス忘却曲線という理論があります。この理論は、時間の経過とともに人の記憶がどのように変化していくかを示したものです。ざっくりと内容を紹介すると、

20分後:覚えた内容の42%を忘れる

1時間後:覚えた内容の56%を忘れる

1日後:覚えた内容の74%を忘れる

1週間後:覚えた内容の77%を忘れる

1ヶ月後:覚えた内容の79%を忘れる

というものです。このデータを見れば明らかなのですが、

人間は非常に忘れっぽい生き物なのです。

忘れることが当たり前なのです。頭が悪くて覚えられないわけではなく、忘れて当然なのです。

しかしご安心ください。忘れっぽいんだから仕方がない、では終わりません。次に、ウォータールー大学の研究結果を紹介します。

学習後24時間以内に10分間の復習をすると記憶が戻る

その後1週間以内に5分間の復習をすると記憶が戻る

その後1ヶ月以内に2〜4分間の復習をすると記憶が戻る

とあります。忘れっぽい生き物である我々でも、

適したタイミングで復習することで、80%以上の内容を簡単に思い出せるようになるのです。

つまり、勉強をしたのにそのままやりっぱなしで復習をしないということは、非常に勿体無い行為なのです。時間をかけて覚えたことを、すっきりまるっと忘れていってしまうのです。

1度、2度、3度と復習をすることで、短い時間で簡単に思い出せるようになりますし、短期記憶でしかなかったものが、長期記憶へと変化し、そもそも忘れづらくなっていきます。

 

 

リラックスして!絶対に思い出すんだ!って思ってると思い出せませんよ!

あれ?なんだっけ?あれ?出てこない!今必要なのに!あー、思い出せない!

ってことありませんか?絶対に思い出さないといけないタイミングで、どうしても思い出せないと、どんどん焦っていきますよね?

話そうと決めていた内容があったのに、人前に立った瞬間に全部忘れてしまって、どうしても思い出せない!ってことありますよね?

過度の緊張は記憶想起(思い出すこと)を妨害します。緊張することによって、なかなか思い出せなくなるのです。しかも、思い出せないことで焦ってしまい、益々緊張してしまい、泥沼にはまってしまうのです。

どうやって覚えるかも大事ですが、どうやって思い出すかも同様に大事です。

方法は色々あると思いますが、なによりも大事なのはリラックスすることです。緊張によって記憶の想起を邪魔しないことです。

どうしても思い出せなくなったときは、一旦考えることをやめて、無理に思い出そうとせず、気持ちが落ち着くまで待ちましょう。

 

 

以上が記憶定着のための5原則となります。5つとも感情論ではなく、

科学的な根拠のある立派な研究結果です。

あらためて5つをまとめると、

暗記や勉強を頑張ったら必ず睡眠を取る(脳を休める)

感情と結びつけることで記憶の定着率が上がる

一度に覚える量は多くしすぎない

適切なタイミングで、必ず復習をする

思い出せなくても焦らない

となります。しっかり学び、しっかり休み、焦らずじっくりタイミングを見計らって学習していきましょう。


Point
頑張り過ぎず、欲張り過ぎず。

 

 

2:やりたくない!面倒臭い!学びを邪魔する感情をコントロールするのに役立つテクニック!

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やる気が出ない!面倒臭い!今日は諦めて明日から頑張ろう!

このように自分の感情に勉強を邪魔されたことがある人は大勢いるのではないでしょうか?いつだって自分の理想を阻むのは自分なのです。

本書では、これらのストレスと上手に付き合うテクニックについて、様々な学問を駆使しながら紹介されています。

 

 

気分にあった音楽を聞いて、精神を良い方向へ整える。

いきなりですが、落ち込んでるときには暗い曲を聞きましょう。腹が立っているときには激しい曲を聞きましょう。その方が精神のバランスが整います。これを同質の原理といいます。

同質の原理

自分の気分と似ていると感じられる曲を聞くことで、精神を安定させることができるという原理。音楽療法として用いられる。

勉強を始める前に気持ちが落ち着かなかったり、嫌なことがあって勉強する気分になれなかったりと、感情が勉強を邪魔してくるときは、

今の自分の気持ちと似ている音楽を聞きましょう。

落ち込んでいるのに明るい曲を聴いたり、興奮しているのに落ち着いた曲を聴いたりするのはあまりお勧めできません。

自分の気持ちとかけ離れた刺激は、ストレスの原因となる可能性があるのです。

ちなみに、音楽を聞く際は、歌詞がないものであったり、歌詞の内容がわからないようなものの方が効果が高いようです。

歌詞を理解することによって、脳がリラックスできなくなることが原因のようです。

気持ちがなかなか整わず勉強に取りかかれないときは、自分の気持ちと似ていて、なるべく歌詞のない音楽を聞きましょう。

 

 

嫌な気持ちは紙に書き出して、脳内から排除!

そもそもなんで勉強したくないんですか?したくない理由がいくつほど頭に浮かびますか?それらを全て紙に書き出してみてください。書き出し終わったとき、勉強したくないという気持ちが弱まっていることでしょう。これを筆記療法といいます。

筆記療法

心の奥底にある気持ちを20分程度で紙に書き出すことで、精神的健康を促進する療法。これにより、通院回数の減少、記憶力の向上、ストレスの軽減、など様々な成果が認められている。

紙に書き出すだけでなぜここまで効果があるのかというと、脳の仕組みが関係しています。

人間の脳は、紙に書き出したことに対して「記憶に残った」と認識をするようです。その結果、

頭に残しておく必要はない!と判断をし、忘れやすくなるようです。

つまり、悩みや不安という忘れたいようなことは、どんどん紙に書き出してしまえばいいのです。そうすれば、脳が勝手に忘れようとしてくれます

勉強をしようとしても、どうしても嫌な気持ちが邪魔をする。というときは、一旦その気持ちを全て書き出してみましょう。20分後、あなたはすんなり勉強にとりかかれていると思います。

 

 

以上が勉強を邪魔する感情をコントロールするために役立つテクニックです。

自分の気持ちと似ている音楽を聞き、嫌な感情や勉強をしたくない理由を20分間程度書き出してみる。どちらもとても簡単な行動ですが、効果が認められている科学的な方法です。

無理やり頑張ろうと思っても、なかなか頑張れるものではありません。どうしてもやる気が出ない。どうしても気分がのらない。そんなときは、

気力でどうにかしようとせず、先人たちの知恵を借りましょう。

多くの人があなたと同じような悩みを抱え、多くの人が解決策を模索してきています。必ずあなたの役に立つ知識が存在するので、その力を借りちゃいましょう。

 

Point
気持ちにあった音楽を聞く、そして気持ちを紙に書く。

 

 

3:心理学を駆使して、勉強を加速させる!

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人間は本来怠け者ですし、見栄っ張りで、気分屋です。嘘だってたくさんつきますし、本音と建前を使い分けます。それが当然です。

そして、なぜそれらのネガティブな行為が引き起こされるのかは、ある程度判明しています。であるならば、逆にそれを利用しちゃいましょう。怠けたい気持ちを利用しちゃいましょう。見栄を張りたい気持ちを利用しちゃいましょう。

ということで、勉強に役立てることができるであろう心理学を紹介していきます。

 

 

承認欲求を利用して、自分のやる気を他人に管理してもらう!

自分を認めて欲しい。わかってほしい。理解して欲しい。こういう気持ちが誰にでもあります。これを承認欲求と言います。強弱の差はありますが。

承認欲求

他人から認められたいという感情。

承認欲求を利用する方法としては、自分が勉強していることを周りの友人に伝える、勉強した内容をsnsやブログで発信する、などが考えられます。

普段ネガティブな方向に働きがちな承認欲求ですが、上手に扱うことができれば、

自分の行動を促してくれる、あなたのやる気管理人となってくれます。

認められたい気持ちと、他人からの評価を上手に利用して、勉強にいかしちゃいましょう。

 

 

面倒事がなくなるならば何でもやります!めちゃくちゃ強力な負の強化!

嫌なことがなくなるのであれば、頑張れますよね?面倒ごとが起きなくなるのであれば、少しぐらい手間かけてもいいと思えますよね?これを負の強化と言います。

負の強化

何かしら行動をすることによって、不快な現象や刺激の除去、つまり嫌なことが発生しなくなると、その行動が起こる頻度は高まる。

例えばですが、ダイエットを決意した人が、口にしたものを全てスマホで記録する、という決め事をしたとします。口にするものが多くなるほど、記録するのが面倒になってきます。口にするものを減らしたら当然記録する数が減ります。つまり面倒事が軽減されます。面倒事が軽減されるという経験から、さらに口にするものが減っていきます。これが負の強化です。

口にするものを減らす→記録する数が減る=面倒ごとの消失(負の強化)

という感じです。ではどうやって負の強化を勉強に利用すればいいのか?

勉強をサボってしまったときのペナルティーとして、あえて面倒事を設定すればいいのです。

面倒なことをしたくない。勉強すれば面倒なことをしなくていい。ということで、負の強化が発生します。このめちゃくちゃ強い影響力を持つ心理効果を、上手に利用しちゃいましょう。 

 

 

どうでしょう?承認欲求や負の強化など、心理学を活用することは、勉強はもちろん、さまざまなことを行う際に力を借りることができます。

意志の力だけでどうにかしようとするのではなく、

利用できるあらゆるものを利用しちゃいましょう。

この他にもまだまだ活用可能な心理学は存在するので、興味があれば調べてみてください。

 

Point
色々なものから、力を借りよう。

 

 

以上が、脳と心を味方につける勉強法です。

記憶のメカニズム覚えるための5原則勉強に役立つ心理学。全てにおいて憶測ではなく、しっかりと科学的根拠に基づいて書かれています。

どうしても勉強をやる気が起きない、なかなか勉強が捗らない、そんな方には特におすすめです。ぜひ試してみて、自分に合った勉強法を確率していってください。

また、本記事は簡易的な要約となっていますので、マインドハックス勉強法について非常に興味が湧いたという方は、是非本書を読んでみてください。

最後に本書の一節を引用して、この記事を締めたいと思います。

 

自分の心のもちようを変化させることで、勉強する気持ちに強く作用させることができます。

佐々木 正悟 脳と心を味方につける マインドハックス勉強法

 

 

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