脳が違う!ホルモンが違う!男女の共通点は、「人間」ということだけ!【話を聞かない男、地図が読めない女 - Allan & Barbara Pease - 】
加筆・訂正を行い2002年11月に改めて発行された、アランピーズ・バーバラピーズ氏著の【話を聞かない男、地図が読めない女】を読んで学んだことをまとめています。
- 作者: アラン・ピーズ,バーバラ・ピーズ
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2012/01/01
- メディア: Kindle版
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本書では、研究結果や、脳スキャンから得た情報もふまえ、男性と女性の行動の違いを説明しています。男性と女性どちらが優れているということはなく、ただただ違うという事実が書かれています。
男女平等が高々に謳われる今のご時世では言いづらいことではありますが、技能や適正、能力において、事実男女差が存在するということは、科学の世界では常識となっています。
そのこと自体は問題ではないのですが、実際存在している男女差を、ないものと認識していると、すれ違いなど様々な問題を引き起こします。
異性を知り、自分を深く知ることで、男女ともに調和のとれた人生を手に入れましょう。
男女平等は政治や道徳の話、男女の本質的な違いは科学の次元である。
Allan & Barbara Pease 話を聞かない男、地図が読めない女
- 1:男女は役割の違いにより、異なる特性を必要とした。
- 2:必要に迫られてそれぞれ進化した、男女の脳の違い。
- 3:脳の配線は、母親の胎内で決まる。
- 4:関係や協力を欲しがる女性、地位や成果を欲しがる男性。
- 5:男女それぞれに生じる化学反応。
- 6:恋愛と脳の関連性。
1:男女は役割の違いにより、異なる特性を必要とした。
男性と女性が異なる進化をしてきたのは、そうする必要があったからです。男性は狩をして、女性は木の実や果実を採る、という生活を続けた結果、両者の脳と身体はまったくの別ものへと変わりました。
その結果、今となっては、考え方・理解の仕方・優先順位・行動・信念までことごとく違っています。
男女の違い1:7割休む男性、9割働く女性。
人間に限らず、哺乳類のメスは、オス(男性)よりはるかに精巧な感覚能力を持っています。これは、子供を守り、住処を守るという役割を、長年女性が担ってきたことで培われた能力です。
ペンシルバニア大学の神経心理学教授、ルーベン・グルの研究によると、休憩中の男女の脳をスキャンするしたところ、男性の脳は7割が完全に活動を停止しており、女性の脳は9割が活動状態にあったようです。
女性はいかなる状況でも、周囲から情報を取り込み、危険や変化をいち早く察知しているのです。
女性がぼーっとしているからといって、男性が何かバレないようにコソコソしても、大体バレてしまうので注意しましょう。
男女の違い2:目の構造と能力が違う。
眼球の奥にある網膜には、白と黒に反応する桿状(かんじょう)体細胞と、それ以外の色に反応する錐状(すいじょう)体細胞があります。錐状体細胞の元はX染色体で、女性はこのX染色体が二本あるため、男性よりも女性の方が色を細かく描写できます。
白眼の面積も女性の方が大きいです。白眼の部分が多いことで、表情が豊かになり、目の動く方向を読み取ることで、相手から様々な情報を受け取っています。
やはりどちらとも、些細な変化にいち早く気づくために役立つ能力です。
その他にも、男女の目の違いがあります。
女性は男性に比べ、周辺視野が広いです。住処を守る女性は外敵の接近など、身の回りの情報をできるだけ多く集めるために、広い範囲を見る必要があったからです。
男性は女性に比べ、トンネル視が得意です。トンネル視とは、長距離を見通す能力です。狩猟者であった男性は、遠くにいる獲物を発見し、それから注意が逸れないように、前方が見えるように進化してきました。
このように、男女それぞれの役割に適した違いが、進化として現れているのです。
女性の方が探し物が得意、男性の方が運転が得意、というのはこのような目の違いによるところも影響しています。男女それぞれの特性を活かした役割分担をしていきましょう。
男女の違い3:女性は感情を読み取り、男性は環境を確認する。
泣いている赤ん坊の映像を音声がない状態で見せて、なぜ泣いているのかを当てられるか、という実験を行なったところ、ほとんどの母親は様々な状態を見分けられたのに対し、父親で見分けられたのは全体の一割に満たなかったという結果がでました。
また、50組みのカップルがいる部屋に入った時に、男女が何を見るかというのにも違いがあります。
●女性
10分間も観察すれば、各カップルの関係性を分析できます。誰がどんな人物で、どんな気分なのかを把握します。
●男性
攻撃がどこからくるか、襲われたらどこから逃げるか、を考えることが脳の回路としてできあがっているため、入口と出口の場所を確認します。
女性はその場にどのような人たちがいるのかを読み取ろうとし、男性はその場がどんな環境なのかを確認します。
この違いは、今いる場所に潜む危険を察知しようとする女性の特性と、今いる場所に危険が訪れた時の対処を考える男性の特性による違いです。
女性が人間観察をしている間に、男性は部屋のレイアウトを確認したり、遠くで切れている電球を見つけているのです。
男女の違い4:嘘に気づく女性、嘘に気づかない男性。
女性が男性に嘘をつくのは簡単ですが、男性が女性に嘘をつくのは非常に難しいです。
一対一のコミュニケーションでは、60~70%が非言語コミュニケーション、つまり表情やボディーランゲージといった、言葉を使わないコミュニケーションが占めていると言われています。声色は20~30%程度、言葉は7~10%程度です。話しているのにも関わらず、言葉以外からほとんどの情報を得ているのです。
女性はこうした情報を優秀な感覚装置で分析しますし、左右の脳の間で情報をスムーズにやりとりできます。そのため、
言葉や視覚情報、その他の些細な信号を統合して、解釈することができます。
周辺視野の広さ、変化にいち早く気づく特性が、嘘を見抜くのに役立っているのです。
そのため、男性が女性に嘘をついても、ほとんどバレてしまいます。どうしてもバレたくないのであれば、直接会うことは避けて、電話やメッセージを使い、表情や動作を見られないようにするといいかもしれません。
女性とは違い、男性は目の前の一つのことしか意識が向きません。言葉と表情や動作といった他の信号が食い違っていても、気にならないのです。そのため、女性が男性に嘘をついても、そんなにバレることはありません。女性の嘘を見破りたいのであれば、言葉以外の情報を、注意深く読み取るスキルを身につける必要があります。
男女の違い5:音にすぐ気づく女性、どこから聞こえるかがわかる男性。
女性は男性よりも耳が鋭く、とくに高音を聞き分けるのが得意です。夜中に赤ん坊が泣き出した時に、男性は気づかずに寝ているのに対し、女性はすぐ気づきます。これも、変化にいち早く気づく女性の特性によるものです。
一方、音がどこから聞こえるのかを突き止める能力は男性の方が優れています。空間能力、方向感覚に優れているため、音の出所をすぐ突き止められるのです。これは、狩猟に適した特性によるものです。
音に気づき、それがどのような音なのかを判別する能力は女性が優れており、その音がどこから聞こえてきているのかを突き止める能力は男性が優れています。
声の大きさや高さの微妙な違いを、女性は敏感に察知します。そのため、相手の気持ちのちょっとした変化にも気付けるのです。一方男性は動物のたてる音を識別して、真似るのが上手です。
男女の違い6:触れ合いが大事な女性、鈍い必要があった男性。
人間の皮膚は面積にして二平方メートルあり、痛みを感じる受容体が280万個、冷たさを感じる受容体が20万個、触覚や圧力を感知する受容体が50万個まんべんなく散らばっています。
皮膚の感受性は、女性の方が男性に比べて、少なくとも10倍敏感といわれています。触覚の敏感さを測る実験を行ったところ、一番敏感だった男性と、一番鈍感だった女性を比べると、鈍感だった女性の方が感度は上だったという結果もあります。
男性の10倍も皮膚が敏感な女性にとって、
相手と触れ合うということは、とても大切なことです。
1999年に、カナダのマギル大学にてマイケル・ミーニー率いる研究チームが、ラットを使った触れ合いに関する実験を行ったところ、親ラットがずっと一緒にいて世話をした赤ん坊ラットの方が、あまり世話をしてもらえなかったラットに比べ、脳の容積が大きくなり、知能も高くなったという結果があります。
つまり、女性は子供を守るためにも優秀に育てるためにも触れ合いが必要であり、子供の身体的変化にすぐ気付けるように、肌が敏感である必要があったと考えられます。
一方男性の皮膚は女性よりも厚くなっています。とくに背中の皮膚は腹側に比べて4倍も厚くなっています。これは、四足歩行時代に背後からの攻撃に対処するための名残です。また、
男性の触覚に対する感受性は、思春期までに大半が消えます。
これは狩という過酷な状況に耐えられるように起こる現象です。痛みに耐えたり、冷たさに耐えるために、皮膚の感覚が鈍い方が狩には適しているのです。
しかし常に鈍いわけではありません。男性は集中していないとき、すこぶる痛みに弱くなるのです。ただの鼻風邪にも関わらず、死ぬかもしれないと本気で思ってしまうのが男性の特徴です。
男女の違い7:味覚と嗅覚が敏感な女性、しょっぱさと苦味には敏感な男性。
味覚と嗅覚は女性の方が優れています。しょっぱさや苦味を区別するのは男性の方が得意ですが、特に甘さに関しては女性の方が敏感です。
採ってきた果物が、しっかり熟され甘くなっているか、安心して子供に食べさせられるかというように、
甘さの感受性が子供の生命を守ることに直結していたころの性質が残っているのです。
ビール好きは男性の方が多く、チョコレート好きは女性の方が多いというのも、これらの特徴によるものだと考えられます。
また、女性の方が男性よりも嗅覚が優れており、排卵日前後にはさらに敏感になります。
女性はかすかな体臭も感知し、においの信号を解読して男性の免疫力の状態を探るのです。これは生き残る確率の高い子供を産むためです。
相手の免疫が自分にない性質を持っていれば、その人との間に生まれる子供には強い免疫が期待できるのです。
研究によると、女性は男性に出会って3秒で免疫系の分析を終えるとあります。
男性は見た目を整えるのも大事ですが、免疫力を鍛えることが、女性に魅力的と思ってもらう近道になるかもしれません。
よく言われていることでもありますし、ここまででお気づきかと思いますが、相対的に男性の感覚は鈍いです。狩猟という重要な仕事のために、鈍い必要があったのです。
女性は自分たちのコミュニティーの維持という仕事のために、知覚が男性よりも優れている必要があり、高度な知覚情報の中で生きてきました。
女性同士では言葉以外の情報から様々なことを読み取り、相手の気持ちや要求を理解できるのですが、それを当然として男性にも求めてしまいがちです。
男性と女性では、感覚に関する能力が全く違うということを理解しましょう。
Point
女性は敏感な必要があり、男性は鈍感な必要があった。
2:必要に迫られてそれぞれ進化した、男女の脳の違い。
狩猟が担当だった男性は、長距離移動に適した脳や、狩猟仲間を組織する力、獲物を確実に仕留める技術が必要でした。
子育てや住処を守ることが担当だった女性は、異変に気づくための周辺視野や、複数作業を同時に行う力、コミュニケーション能力が必要でした。
このような生活を何万年も過ごしたことにより、人間の脳に遺伝記憶として残っているのです。
脳の違い1:自分の脳の配線を知ろう。
これまで、男性、女性と身体的な性別の違いを引き合いに出してきましたが、実は、
身体的な性別よりも、脳の性別の方が、能力の違いを生み出しているのです。
まずは、自分の脳の配線が、男性よりなのか女性よりなのかを知りましょう。イギリスの遺伝学者アン・モアが脳のセクシャリティに関する研究結果を元に作った、簡単なテストがあります。
設問に対し、自分に最も当てはまると思う回答のアルファベットを選択してください。最後に合計点数を出しますので、アルファベットそれぞれの数をメモしながら行うといいかと思います。
Q1:地図を見るとき
A:なかなか理解できず、誰かに聞く
B:地図は見ないで行きたい道を行く
C:苦もなく読める
Q2:ラジオを聞きながら料理を作っていたら、友人から電話がかかってきたとき
A:ラジオを聞きながら料理も続け、友人とも電話する
B:ラジオは消して、料理しながら友人と電話する
C:料理が終わったらかけなおすと伝え、電話を切る
Q3:家に初めて来る友人に道を教えるとき
A:地図を描いて送る、もしくは他の人に説明してもらう
B:何が見えるかを聞き、それを手がかりに道順を説明する
C:道順を言葉で説明する(スーパーを左に曲がって、二個目の信号を右など)
Q4:自分の考えや概念を説明するとき
A:ペンと紙を使い、身ぶりをまじえて説明する
B:身ぶり手ぶりをまじえながら、言葉で説明する
C:明快でわかりやすい言葉を使って説明する
Q5:映画を見て感動したあと、家に帰ったとき
A:映画の場面を思い浮かべる
B:感動した場面やセリフについて話す
C:映画の評判を引用する
Q6:映画館で座る場所
A:スクリーンに向かって右側
B:どこでもいい
C:スクリーンに向かって左側
Q7:友人の機械がうまく動かないとき
A:同情して、友人がどんな気持ちかについて話題にする
B:直せそうな人を紹介する
C:自分で直そうとする
Q8:知らない場所で、北の方向を尋ねられたとき
A:正直にわからないという
B:ちょっと考えて、てきとうに答える
C:確信をもって答える
Q9:車を停められる場所を見つけたが、バックでしか入れなさそうなとき
A:他の場所を探す
B:慎重に車を入れる
C:苦もなく車を入れる
Q10:テレビを見ているときに電話が鳴ったら
A:テレビはそのままに電話に出る
B:テレビの音量を下げて電話に出る
C:テレビを消し、周りの人に静かにするように伝えて電話に出る
Q11:好きなアーティストの新曲を初めて聞いたとき
A:全部または一部を思い出して歌える
B:難しい曲でなければ、一部を思い出して歌える
C:メロディは覚えられないが、歌詞の一部なら思い出せる
Q12:予想が当たるとき
A:直感に頼ったとき
B:手に入る情報と、本能的な感覚にもとづいて判断したとき
C:事実、統計、データを参考にしたとき
Q13:鍵をどこに置いたか思い出せないとき
A:自然に思い出すまで別のことをする
B:別のことをしながらも、思い出そうとする
C:自分の足取りを思い起こし、絶対に思い出そうとする
Q14:ホテルの部屋で遠くからサイレンが聞こえたとき
A:どこから聞こえるかまったくわからない
B:集中すれば、どこから聞こえるかわかる
C:どこから聞こえるかすぐにわかる
Q15:初対面の人を7~8人紹介された翌日
A:全員の顔を思い出せる
B:何人かは思い出せる
C:顔よりも名前を覚えている
Q16:自分は高原に行きたい、相手は海に行きたいとなったとき、相手に納得してもらうために
A:心情(感情)を訴える
B:今回高原にしてくれたら、次は海にするからと伝える
C:有利な事実を主張する(高原の方が安い、設備も整っているなど)
Q17:今日何をするかを考えるとき
A:やることが一目でわかるように一覧にする
B:やるべきことについて考える
C:今日会う人、行く場所、やることを思い描く
Q18:友人から悩みを相談されたとき
A:同情と理解を示す
B:悩みは本人が思っているほど深刻ではない、なぜなら...と説明する
C:問題解決のための合理的な提案とアドバイスをする
Q19:友人どうしが密かに不倫をしているとき
A:かなり早い段階で気づく
B:途中で気づく
C:おそらく気づかない
Q20:自分にとって人生とは
A:友人をたくさん作って、仲良くやっていくこと
B:周囲の人たちとうまくやりながら、個人としての自立は守ること
C:有意義な目標を実現し、周囲の尊敬を勝ち取り、名声を手にして出世すること
Q21:望ましい仕事の仕方
A:メンバーが適宜(てきぎ)入れ替わるチームで働く
B:みんなと同じ場所で、自分だけのスペースを確保して仕事をする
C:ひとりでやる
Q22:好きな本のジャンル
A:小説などのフィクション
B:新聞や雑誌
C:自伝などのノンフィクション
Q23:買い物の仕方
A:衝動のおもむくまま(お買い得という言葉に弱い)
B:大体の計画は立てるが、あとは成り行き
C:表示を念入りに読み、値段を比べる
Q24:寝起きや食事
A:好きな時間にする
B:大体の時間は決まってるが、ずれることも多い
C:毎日ほぼ決まった時間
Q25:転職して間もないときに、同僚から電話がかかってきた
A:相手がすぐわかる
B:しばらく話すと、誰かわかる
C:声だけでは誰だかわからない
Q26:口論の時、いちばん腹が立つ相手の態度
A:沈黙や無反応
B:自分の考えを理解してもらえない
C:挑戦的、あるいは鋭い質問やコメント
Q27:漢字テストや作文の課題
A:楽々とこなしていた
B:どちらかだけ点数がよかった
C:どっちも苦手
Q28:ダンスをするとき
A:ステップを覚えないと音楽にノレない
B:体は動かせるが、周りと合わない
C:リズムについていけない
Q29:動物の声や音を聞き分けたり、真似をするのは
A:かなり得意
B:けっこうできる
C:まあまあ
Q30:さんざんな目にあった日
A:友人や家族にぶちまけたくなる
B:他の人がどんな1日を過ごしたか聞く
C:新聞を読んでテレビを見る(話はしない)
設問は以上です。A,B,Cはそれぞれ得点に対応しており、以下のように計算します。
男性の方)A:10点/B:5点/C:-5点
女性の方)A:15点/B:5点/C:-5点
A,B,Cの数を数え、30問の合計点を出してみましょう。
※自分に当てはまらない設問や、回答しなかった設問は一律-5点と計算してください。
●150点以下の方は男性的な脳の配線
特徴としては、論理的・分析力に優れる・言葉を厳密にとらえる・几帳面・ものごとを整然と処理する、というものがあります。得点が0点に近づくほど、感情に惑わされない・データを重視する、という傾向が強くなっていきます。女性で得点が低い人は、レズビアンになる可能性が高いです。
●180点以上の方は女性的な脳の配線
特徴としては、創造性/芸術性が豊か・直感や感覚で判断する・わずかなデータから問題を鋭く認識する・洞察力が優れている・思いがけない方法で課題を解決する、というものがあります。男性で得点が180点を越える人は、ゲイになる可能性が高いです。
●150〜180点の方は男女どちらの脳も持つ
特徴としては、極端に男っぽい、女っぽい考え方をせず、融通がきくため、問題解決の時に非常に役にたちます。同性、異性とわずに友達が多いのも特徴です。
自分の脳の配線を知ることで、自分の傾向を知ることができます。また、周りの人の脳の配線も確認できれば、一緒に何かをやる時に、役割分担がスムーズになり、コミュニケーションをとりやすくなります。 テストに回答して、自分の脳の配線を知りましょう。
脳の違い2:日常の些細な行動が違う。
たとえば、大抵の男性は壁を背にして、入口が見渡せる席に座りたがる傾向があります。背後から襲われる危険がなく、周りの様子がよくみえるからです。
一方女性は空間に背中を向けることをあまり気にしません。そのため座る場所に対してこだわりはありません。ただし、幼い子供を連れているときは、壁際に座ろうとする傾向があります。このときの心情は、男性が壁際に座る理由と同じです。
このように、
日常の些細な行動にも、遺伝記憶が影響を与えているのです。
脳の違い3:見当をつけるのが好きな男性、話が好きな女性。
MRIを用いて脳をスキャンし、明るく光っている部分があれば、その部分を使う技能や作業が得意である、ということを判断することができます。
男女それぞれの脳をスキャンしてみたところ、男性の脳は方向を感じ取る部分が光っていました。つまり、方向を探ったり、見当をつける作業が得意であるといえます。
一方女性は、発話領域がはっきりと光ります。話すことが得意であるといえます。
ちなみに、光る部分は得意という面とは別に、楽しいという側面ももっています。つまり、男性は見当をつけるのが得意で楽しいし、女性は話すのが得意で楽しいということです。
男性は見当をつけるのが得意で楽しいし、女性は話すのが得意で楽しいということです。
もちろんここでいう男性女性というのは、身体的な性別ではなく、脳的な性別のことです。脳の違いは、脳の性別によって変わってくるのです。
脳の違い4:左脳で話す男性、脳全体で話す女性。
1995年、イェール大学のベネット、シャリー・シャイウィッツ両博士が率いる研究チームの実験により、言葉を話す時の男女の脳の違いが判明しました。
言葉を話すときの血流のわずかな違いを、MRIを使って測定したところ、
男性はもっぱら左脳が使われていて、女性は左右両方が使われていました。
つまり、男性は言葉を左脳で管理しているのに対し、女性は言葉を司る部分が一つではないということです。
その証拠に、男性が脳の左側に損傷を受けると、発話能力や語彙がほとんど失われるのに対し、女性は同じ部位を損傷しても、影響が小さいことがわかっています。
女性が男性に対して、言葉が足りない、と感じてしまうのも、個々人の性格の問題ではなく、そもそもの脳の能力の問題といえます。
脳の違い5:接続がいい女性、整理されている男性。
左半球と右半球は、脳梁と呼ばれる神経繊維の束でつながっていて、ここを経由し、左右の脳は連絡を取り合っています。
カリフォルニア大学で神経学を研究していたロジャー・ゴルスキーの研究により、
女性の方が脳梁が太く、左右の連絡が1.3倍も良いことが判明しています。
また、女性ホルモンのエストロゲンは、神経細胞に働きかけ、左右半球の接続を良くすることも明らかになっています。
複数のことを同時に行えて、直感が鋭いという女性の特徴は、左右の脳の連絡が優れていること、使われていない脳の部分も休まず活動を続けていることが理由です。
ただ、女性は脳の両方を常に使っているため、右と左が咄嗟に判断できないこともあります。
一方、
男性の脳は左右の連絡が悪く、専門分野ごとにはっきり整理されています。
一度に一つのことしか集中できないように、脳がつくられているのです。何かをしているときの男性の脳をスキャンすると、必要な部分以外が死んだようになっていることがわかります。
このように、男性と女性では脳の構造がそもそも違います。何万年も続けられてきたそれぞれの役割が、脳にも違いを生み出しました。
重要なのは、身体的な性別ではなく、脳の性別です。
男性脳と女性脳の脳の構造は、まるっきり違います。
自分の脳のタイプを知り、自分とは違う脳のタイプの特徴を学びましょう。自分に適しているやり方が、違うタイプにとって適しているわけではないということがわかると思います。
そもそも脳の作りが違うということを理解し、すれ違いをなくしていきましょう。
Point
男性と女性は、脳の構造が違うため、あらゆる行動が違ってくる。
3:脳の配線は、母親の胎内で決まる。
脳が男性タイプになるか、女性タイプになるかは、母親の胎内にいるときに決まります。つまり、脳のタイプは育て方でどうこうできるものではなく、生まれついて決まっているものなのです。
最初はみんな女性からスタートする。
生まれてくる子供が、男の子になるか女の子になるかは、父親と母親からもらう染色体の組み合わせによって決まります。
遺伝情報の発言と伝達を担う染色体にはX、Yという2つがあります。男性女性ともにX染色体は持っていますが、Y染色体は通常男性にしかありません。
両親からもらう染色体がXXの場合は女の子が生まれ、XYの場合は男の子が生まれます。
染色体異常により、通常2つの組み合わせであるのに、染色体が1つしかない場合や、3つある場合もありますが、1つでもY染色体を持っていれば、男の子が生まれます。
また、X染色体はY染色体に比べ非常に大きく、生命活動に必要な遺伝子を多く含んでいますが、Y染色体にはそのような遺伝子はありません。これらのことより、Y染色体は男性化を行うものであり、人の基本はX染色体であるといわれています。つまり、
人体や脳は、すべて女性がスタートになっているのです。
乳腺や乳首といった女性の特徴が、男性にも存在しているのはそのためです。
セクシャリティや脳の特徴は胎内で受けたホルモン量で決まる。
XY染色体を持つ胎児は、男性器の発達、脳の形成のために男性ホルモンが必要となります。このとき男性ホルモンが不足していると、脳の配線が女性寄りになります。
その場合、ゲイやトランスジェンダーになる可能性が高いといわれています。
XX染色体を持つ胎児も、女性器の発達、脳の形成のために女性ホルモンが必要となります。このとき、何らかの理由で男性ホルモンを大量に浴びてしまうと、男性っぽい脳の配線になります。
その場合、レズやトランスジェンダーになる可能性が高いといわれています。
つまり、後天的な環境や教育とは関係なく、胎内で受けたホルモン量によってホモセクシャル(同性愛)になる傾向があるのです。
遺伝学者のアン・モアの研究結果により、
ホモセクシャル(同性愛)は遺伝によってなる場合が多いと判明しています。
このことを裏付ける調査結果があります。誕生後すぐに離れ離れになった兄弟の片割れで、ゲイの人100人を集め、それぞれの片割れがゲイなのかどうかを調べたところ、兄弟が二人ともゲイだった割合は、
●二卵性双生児の場合:22%
●双生児じゃない兄弟/血の繋がらない兄弟の場合:10%
●一卵性双生児の場合:52%
という結果でした。注目すべきは一卵性双生児の場合の割合です。双子の片方がゲイの場合、もう片方がゲイの割合が52%もあります。つまり、片方がゲイの一卵性双生児の2組みに1組みは、もう片方もゲイだったのです。
このデータは生まれてすぐ離れ離れになった兄弟を調査したものなので、セクシャリティは遺伝に影響されているといえるのです。
このように、ホモセクシャルは生まれつきなのです。もちろん、育った環境も影響を及ぼしますが、考えられているよりも非常に小さい影響です。
ホモセクシャルが悪いということは当然ありませんが、親の育て方が悪かったのだ、という意見をたまに見かけます。しかし、胎内で受けたホルモン量による影響なので、
親の育て方が悪いからホモセクシャルになる、ということはありませんし、そのことを裏付ける証拠は一切ありません。
また、ホモセクシャルは男性ホルモンが多いか少ない、というのが要因なので、同性愛者は男性の方が多い傾向にあります。
このように、胎内で受けた男性ホルモンの量によって、脳の配線が決まります。男性的な脳の配線になるのか、女性的な脳の配線になるのかは、生まれる前に決まるのです。
極端に男性ホルモンを受ける量が少なかったり多かったりすると、ホモセクシャルになる可能性が高くなります。育ちや環境によって作用されるということが全くないわけではありませんが、胎内で受けた男性ホルモンの量が強く作用しています。
もしも、自分のセクシャリティに悩みがあったり、自分の子供のセクシャリティが理解できないと悩んでいる方がいた場合は、
ホモセクシャル(同性愛)になるかどうか、は胎内で受けた男性ホルモン量の影響が大きい、ということを認識しましょう。
ホモセクシャルが良い悪いという話ではなく、どのような要因で、そのようなセクシャリティになるのかという、科学的な事実を認識しましょう。
Point
人の始まりは女性、脳の配線を決定づけるのは男性ホルモンの量。
4:関係や協力を欲しがる女性、地位や成果を欲しがる男性。
女性の意識は、協力や調和といった人間関係が軸となっているのに対し、男性の意識は、地位や権力を手に入れるといった成果を上げることが軸となっている傾向が高いです。
このような意識があるため、思考や行動などで様々な違いが起こるのです。
人間に関することを話す女性、ものごとや活動に関することを話す男性。
男性だけのグループ、女性だけのグループでの会話を聞くと、同じ話題だとしても内容が全然異なる傾向があります。
女性の場合は、子ども・恋人・他人の行動・職場の人間関係など、人間に関する話が中心となる傾向が高いです。
男性の場合は、仕事・ニュース・テクノロジー・機械など、ものごとや活動についての話が中心となる傾向が高いです。
1999年にイギリスの電話会社が1000人を対象に、電話でどんなことを話すのかを調査したところ、
●友人のこと:女性53%/男性30%
●セックスや異性関係のこと:女性22%/男性18%
●仕事のこと:女性11%/男性25%
●スポーツのこと:女性2%/男性16%
●その他:女性12%/男性11%
という結果でした。人間に関する項目だけを考えると、女性は75%、男性は48%となり、やはり女性は圧倒的に割合が高いです。
仕事やスポーツなど活動に関することになると、女性は13%、男性は41%となり、男性の割合が高くなります。
このことからも、
女性は人間に関することが興味の対象であり、男性は活動に関することが興味の対象であるとわかります。
関係を重んじる女性、モノを重んじる男性。
西欧五カ国で成人男女に対し、自分はどんな人間になりたいかという理想像を調査しました。調査方法は、形容詞が並べられたリストから、理想像に適しているものを選んでもらうというものでした。
●女性回答者の答え
温かい/愛される/寛大な/思いやりのある/魅力的な/友好的な/惜しみない、という形容詞が選ばれました。
また、人生で重視するものを聞いたところ、誰かの役に立つこと/興味深い人に出会うこと、という関係に関する回答でした。
●男性回答者の答え
大胆な/競争に勝てる/有能な/支配力のある/断固とした/賞賛される/実際的な、という形容詞が選ばれました。
また、人生で重視するものを聞いたところ、名声/権力、という所有に関する回答でした。
理想像の違いからもわかるように、
女性は関係に関することを求め、男性はモノに関することを求める傾向があります。
これも脳の配線の違いから生じていると考えられています。
感情が連動している女性、独立している男性。
カナダの研究者であるサンドラ・ウィトルソンにより、脳の中で感情が発生する場所が突き止められました。
女性の感情領域は左右両方の脳に広く分布していました。一方男性の感情領域は右脳の二箇所に集中していました。
また、他の研究により、感情はニューロペプチドと呼ばれるアミノ酸の形で、体内の様々な臓器にも存在していることがわかってきました。
つまり、脳にある感情領域は、体内にあるニューロペプチドを遠隔操作しているのです。
左右両方の脳に感情領域がある女性と、右脳にしかない男性とでは、次のような違いが生じます。
●感情領域が左右両方の脳にある女性
女性は左右両方の脳に感情領域があるため、感情と他の機能が連動します。感情と他の機能を同時に活用できるため、感情に合わせて、豊かな表情や、身振り手振りといったジェスチャーを上手に使い分けることができます。連動するがゆえに、議論の時に感情的になりやすい傾向がありますが、議論は続けようとします。
●感情領域が右脳にしかない男性
男性は右脳にしか感情領域がないことと、左右の脳を繋ぐ脳梁が細いため、感情は独立して機能しています。そのため、感情的に議論を行うことはあまりありません。もし感情的になりそうであれば、議論そのものを途中でやめてしまう可能性が高いです。これは、取り乱した状態という、自分の弱さを人目にさらさないためでもあります。ただ、感情の扱いは得意ではなく、感情的になると非常に攻撃的になる傾向があります。
感情が他の働きと連結しているのか、独立しているのかという違いにより、
女性は感情的になっても会話を続けますが、男性は感情的になると会話をやめるか、攻撃的になります。
女性が男性に対して、心がこもっていない、といったり、男性が女性に対して、いちいちおおげさ、と思ったりするでしょうが、それは感情と他の働きが連動してるのか独立してるのかの違いです。性格の問題ではないので、言ってもしょうがないことなのです。
人間関係で価値を決める女性、仕事や業績で価値を決める男性。
価値観の調査は今までに何度も行われており、人種に関係なく女性の70~80%は家族が一番大事だと答え、男性の70~80%は仕事が一番大事だと答えています。
つまり、女性は人間関係で自分の価値を決める傾向があり、男性は仕事や業績で自分の価値を決める傾向があります。そのため、
人間関係に悩んでいる女性は仕事に集中できず、仕事がうまくいっていない男性は人間関係に気が回らないのです。
このような感じ方の違いも、脳の構造や優先順位の違いから生じるものです。
気持ちをさらけだす女性、隠す男性。
女性にとって気持ちを伝えることや、悩みを打ち明けることは信頼と友情の証です。そもそも弱みを見せたり感情を素直に表すように脳が配線されているため、なんの問題もなく悩みを打ち明けられます。
また、悩みを話すことでストレスを軽減しています。そのため、ストレスがたまるといつも以上に喋る傾向があります。
聞いてもらえるだけでよく、解決策を求めているわけではありません。
ちなみに女性が黙ってしまったときは注意が必要です。話すのが大好きで、ストレス発散にもなる女性が黙るということは、非常にまずい状態である証拠なのです。
一方男性にとって、悩みを打ち明けることは、自分の敗北を認める行為となります。男性は自分で解決したがる傾向があり、それができないと自分の価値を感じられないのです。自分よりも明らかにいい解決策を出してくれるであろうと感じたときだけ、男性は人に相談します。
基本的に、解決の糸口を自分自身で見つけるまで、一人にしてもらいたいのです。
そもそも一つのことしかできない男性にとって、考えながら喋るということは得意ではありません。頭の中で問題解決に取り組んでいる最中は、同時に喋ることは苦手なのです。男性が黙っているときは別になんの問題もなく、ただ考えているだけです。攻撃的な口調で話し始めたときが、非常事態の始まりです。
その反面、アドバイス好きで、相手に対して解決策を出したがります。問題解決が基本になっている男性は、相手からもそれを求められていると感じる傾向があるのです。そのため、ただ話を聞くということが苦手で、どうしても口を挟んでしまいがちとなります。
このような違いからいえることは、
女性の悩みは気の済むまで聞いてあげることが重要で、男性が悩んでいるときは、自ら話してくるまで放っておくことが大事なのです。
このことを理解しておかないと、非常に面倒臭いことになります。女性は自分と同様に男性も喋ることで気持ちが晴れると思いがちですし、男性は自分と同様に女性も黙って考えたいのだと思いがちです。
つまり、女性は黙っている男性を放っておけずに、なんとか口を開かそうとしてしまいますし、男性は喋っている女性には不必要なアドバイスをしてしまい、黙っている女性を放っておこうとします。
そうなると、お互い相手にとって良くない行動を、良かれと思って取ってしまっているため、しばしば喧嘩が発生するのです。
価値観や感情、ストレスの発散方法まで、男女では全く違うということがわかってもらえたかと思います。男性にとっての最善が、女性にとっては最悪だったりするのです。異性と付き合う時は、
自分基準でどうするかを決めるのではなく、相手の脳の構造を理解し、相手にとって好ましい方法を選択することが大事です。
相手の行動から隠れている感情を読み取るといった難しい話ではなく、男性はこういう脳の構造をしている、女性はこういう脳の構造をしている、ということを学ぶことで、すれ違いを軽減することが可能となります。
Point
異性の脳の構造を理解することで、最善の対応方法がわかる。
5:男女それぞれに生じる化学反応。
10代の男の子の体は男性ホルモン(テストステロン)の働きにより、脂肪が15%、たんぱく質が45%という構成になり、狩猟者に適した体つきとなっていきます。
10代の女の子の体は女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の働きにより、脂肪が26%、たんぱく質が20%という構成になり、授乳のエネルギー源を確保するための体つきとなっていきます。
このように体内の物質(ホルモンなど)により、様々な化学反応が生まれていきます。
そもそも情緒反応は神経細胞の作用。
脳のコミュニケーション網を作っているのはニューロン(神経細胞)であり、ニューロペプチドと呼ばれる体内を漂うアミノ酸の鎖が、外界や体内からなんらかの刺激を受け取る構造である受容体と結びつくことで情緒反応が起こります。
つまり、
愛や悲しみ、満足といった感情も、つきつめれば生化学の作用なのです。
遺伝子を決めるDNA暗号を解読し、ノーベル医学生理学賞を受賞した、イギリスのフランシス・クリックは、「喜びや悲しみ、記憶、野心、意思、愛は無数の神経細胞の仕業にすぎない。」と言っています。
女性ホルモン、男性ホルモンの働き。
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンという2つがあり、男性ホルモンにはテストステロンがあります。
エストロゲンとテストステロンは男女両方が持っていますが、女性はテストステロンの割合が少なく、男性はエストロゲンの割合が少ないです。
プロゲステロンは女性のみが持っており、男性は持ち合わせていません。
それぞれの働きについて紹介していきます。
●エストロゲンの働き(女性ホルモン)
エストロゲンは女性に満足感や幸福感をもたらします。
子育てや家を守るという行動において中心的な役割を担います。
気持ちを静めるという効果もあるため、乱暴な囚人をおとなしくさせるために使われたりします。
●プロゲステロンの働き(女性ホルモン)
プロゲステロンは女性に母性愛や、誰かの世話をしたいという感情を起こさせます。
子育てを遂行する役割を担います。
プロゲステロンは、赤ちゃんのような形状のものを見たときに分泌されやすくなります。本物の赤ちゃんに限らず、形状が似ていればぬいぐるみを見ても分泌されます。女性がぬいぐるみが好きなのはそのためです。
●テストステロンの働き(男性ホルモン)
テストステロンは男性を狩に向かわせる攻撃的なホルモンです。ヒゲが生える、髪が薄くなる、声が低くなる、空間能力が発達するという役割を担います。一心不乱に何かをやったり、疲れを感じ辛いという特徴も持ち合わせています。分野や男女をとわず、
業績が良ければ良いほど、テストステロンの値が多かった、という調査結果もあります。
しかし、テストステロンが持つ攻撃性を上手に発散しないと、反社会的な行動を引き起こしたり、死亡率が4倍高くなるというデメリットもあります。
脂肪のつきやすい部位は男女で違う。
余った脂肪は生命維持に欠かせない器官から遠いところに蓄積されていきます。脳や心臓、性器周りが太った、という話を聞かないのはそのためです。
また、男女が長年続けてきた役割の違いにより、脂肪のつき方にも違いが生じています。
狩に出かけ、獲物を仕留める必要があった男性は、歩き回るための足や、武器を使用するための腕といった狩猟にとって重要な部位には脂肪がつきづらいです。逆に狩に何の関係もなかった、
お腹から優先的に脂肪がつきやすくなっています。
子供を産むという能力がある女性は、子宮があるお腹には脂肪がつきづらいです。武器を使ったり、長い距離を歩き回る必要がなかった女性は、
太ももやお尻、二の腕といった部位に優先的に脂肪がつきやすくなっています。
ちなみに、これらの部位は授乳や子育ての時に、赤ちゃんのクッションがわりになる部分でもあり、役割に適した体の仕組みといえます。
つまり、男女の違いは体内の物質が引き起こしている必要な変化の結果なのです。感情や意思すらも、神経細胞と受容体が結びつくことで発生しているため、
男女のホルモンが違う以上、同じような考え方をするのは、非常に難しいということがわかります。
Point
満足、喜び、苛立ち、悲しみ、これらは全て神経細胞によって引き起こされる。
6:恋愛と脳の関連性。
男女の感情が違うことにより、恋愛面においても様々な違いが生じます。
肉欲・心酔・愛着。
ニュージャージー州にあるラトガーズ大学の人類学者、ヘレン・フィッシャー博士は、愛のありかをつきとめるべく研究を続けています。博士の研究により、
脳には、肉欲・心酔・愛着、という三種類の情動があることがわかりました。
誰かを好きになるとこの三つの情動が脳の中で働き始めます。なぜこのような情動が起きるかというと、生殖を確実に行い、子孫を増やすためだといわれています。そのため、受精が完了した後にはシステムが機能しなくなり、愛も停止してしまうことがあります。
三種類の情動は、肉欲、心酔、愛着、の順に発生します。
●肉欲
文字通り、肉体に惹かれる状態です。顔が好み、スタイルがいい、といった、外見的特徴により相手に惹かれている状態です。
●心酔
相手のことが忘れられなくなる状態です。良いところばかりが目につき、悪いところは見えなくなります。パートナー候補者と絆を深めることが、心酔の目的となります。幸福な気持ちをもたらしてくれるという特徴もあります。
また、心酔はとても強い感情のため、相手に拒絶されると自暴自棄になる危険があります。
心酔状態のときには、脳内に化学物質が分泌され、高揚感を生み出します。満たされた感じを生み出すドーパミン、興奮レベルを上げるフェミルエチルアミン、情緒を安定させるセロトニン、達成感を生み出すノルアドレナリン、という物質によるものです。
心酔状態は三ヶ月から一年ぐらい続きます。心酔からさめた後は、愛着状態に変化するか、相手への興味を失うかのどちらかになります。
●愛着
心酔状態が終わると、子育てという長期の協力関係に変化します。この状態を愛着といいます。
第一段階の肉欲ステージになるかどうかは、テストステロンも多大に関係しています。
テストステロンが多い男性は、すぐに肉欲ステージになります。一方女性は、脳の構造的に感情と理性の連絡がうまくとれるので、テストステロンにけしかけられても、
簡単に自制心を失うことはありません。
気持ちをしっかり確かめる女性、すぐに行動する男性。
感情を管理する大脳辺縁系は、帯状回と辺縁系側頭部という二つの部分から成り立っています。
●帯状回
思考や想像に結びついている部分
●辺縁系側頭部
原始的で、性衝動や暴力に関係する部分
女性は帯状回のほうが活発で、男性は辺縁系側頭部の方が活発に活動しています。そのため、
女性は気持ちや色々なことを確かめてから行動にでるのに対し、男性はすぐに行動を起こします。
男性が惹かれる、女性の体の黄金比率。
男性が好む女性像は時代とともに変化しますが、男性の脳に組み込まれた健康的な女性像という情報はいつの時代も変わりません。具体的には、女性のウエストとヒップの比率です。
ウエストとヒップの比率が 7 : 10 ぐらいが、最も健康的で、子どもをたくさん産めるといわれています。
ケンブリッジ大学のデベンドラ・シン博士が様々な国の男性を調べたところ、
男性の脳には、ウエストとヒップの比率が 7 : 10 ぐらいの女性を無意識に求める、という情報が組み込まれているということがわかりました。
生殖本能によるものだと思われますが、とにかく男性にとって重要なのは、女性の体重ではなく、身体の曲線なのです。
シャンパンとチョコレートはホルモンを刺激する。
男性が女性を口説く場合には、シャンパンとチョコレートが非常に有効です。
シャンパンには、アルコール飲料で唯一テストステロンの分泌を高める成分が入っています。
チョコレートには、フェミルエチルアミンという、女性の脳を刺激して興奮レベルを上げる成分が入っています。
また、サンディエゴにある神経科学研究所のダニエル・ピオメラの研究により、女性が陶酔(心惹かれてうっとりするさま)状態に陥る物質が発見されました。これはN - アシルエタノールアミンと呼ばれる物質で、女性の脳にある恍惚受容体にはまることで、マリファナを吸うのと同程度の陶酔状態が起こることがわかっています。
この物質は、
チョコレートとココアには含まれていますが、ホワイトチョコレートやコーヒーには含まれていません。
逆に女性は少々注意が必要です。パートナーを決めるという選択をする際に、チョコレートやココアに手を出すと、誤った判断をしてしまうかもしれません。
出産時期から逆算して、テストステロンの分泌量が増える。
春は恋の季節、と言われますが、人間の生殖本能からすると正しいとは言えません。
自然界では、生まれた子どもが育ちやすいように、暖かい季節に出産を行おうとする習性があります。
たとえば妊娠期間が三ヶ月の動物であれば、夏に子どもが生まれるように、春に発情するようになっています。
人間の妊娠期間は九ヶ月ぐらいなので、秋ぐらいに発情します。つまり、この時期にテストステロンの分泌が最高潮に達するのです。
ちなみに、南半球、北半球で発情時期は異なります。〇〇月に産むことが重要なのではなく、あくまでも暖かい季節に出産を行うことが重要なのです。そのため、南半球と北半球では時期がずれているのです。
ここまでみてきたように、愛は欲望(肉欲)から始まります。その後心酔、愛着とステージは変わっていきますが、その全ては子孫を残すためにプログラミングされた本能ということです。
子孫を残そうとする本能は、ホルモンという強力なドラッグを私たちに投与してきます。
このホルモンは子孫を残すためには強力な力を発揮しますが、パートナーとの相性を見極める力は全くありません。自分と気持ちが通じ合う相手を見つけるための力は全くなく、この相手とだったら健康な子孫を残せそうかどうか、ということしか判断しないのです。
誤った判断を回避するためには、心酔状態になる前に、自分の理想とするパートナー像をしっかりと考え把握して、気になる相手ができたときには、理想を確認するようにしましょう。
理想とかけ離れている相手に魅力を感じているとしたら、ホルモンによって支配されているかもしれません。
Point
ホルモンは、子孫を残すために私たちを支配する。
以上が「話を聞かない男、地図が読めない女」を読んで学んだことです。男女は脳も違えばホルモンも違います。ここまで違うのですから、すれ違いが起こって当然といえます。
しかし、互いの脳の構造や、ホルモンの仕組みを知っておくことで、確実にすれ違いはなくすことができます。男性が黙る理由、女性が話し続ける理由、というように、理由がわかっていれば不必要に気を病むこともなくなります。
是非本書から男女の違いを学んでみてください。
最後に本書の一節を引用して、この記事を締めたいと思います。
これまで出世の階段を昇るには、男らしい特徴や価値観が求められていた。しかしいまでは、女らしい価値観を持たないと生きのこりが難しくなっている。
Allan & Barbara Pease 話を聞かない男、地図が読めない女
- 作者: アラン・ピーズ,バーバラ・ピーズ,藤井留美
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2002/11/01
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